・断熱改修すると暖かくなる理由は
「断熱材を入れ替える工事をしたのに、家が暖かくならない」という、相談を受けることがあります。それは、断熱材を入れ替えただけでは、家の中はほとんど暖かくならないためです。では、なぜそれだけでは家の中は暖かくならないのでしょうか?
真冬の風の強い日に外にいるときのことを想像してみてください。
一方は、ダウンジャケットを襟元まで閉め、帽子を被り、マフラーを巻いて、足下には防寒靴を履いて手袋をするなど、すっぽりと体を包み、外気をほとんど感じないように完全防備しています。
もう一方は、ダウンジャケットは中のダウンを増量した暖かいものを着ていますが、前を閉めずに帽子やマフラー、手袋もせず足下も長靴という状況だとします。たとえどんなに暖かいダウンジャケットを着ていたとしても、外気が襟元や袖口などから入り、体温が奪われるので、体は寒さを感じてしまうのです。
住まいの断熱も、これとまったく同じ。室内や躯体の中に外気が流れ込むと、室内の暖かさがどんどん奪われるので、暖かさを感じられないというわけです。ですから、正しい断熱改修とは、住まいの気密化をきちんと図り、その上で断熱材の特性を最大限に生かす工事をする必要があるのです。
断熱改修とは「暖かく快適に、燃費が良く省エネの住まいにすること」を目的に行うもので、そのためには住まいの断熱・気密を図るのはもちろんのこと、暖房計画や計画換気もあわせて考えなければなりません。
これらのことは住まいの基本性能に関わることなので、高断熱・高気密の家づくりに取り組んでいるビルダーに依頼するのが、一番安心だといえます。
家づくりには大工のほか、設備や電気、クロスなど多種多様な業種が関わっていて、それぞれに得意とする専門分野があります。ですから、クロスの張り替えだけ、外壁の張り替えだけという場合であれば、クロス張りや外壁の専門業者に工事を依頼してもかまいませんが、断熱や躯体の改修に関わる場合は、家づくりの知識と実績のある会社に依頼するのが良いというわけです。
人は、定期的に健康診断を受けたり、具合が悪いところがあると病院へ行ったりします。車も、車検や定期点検を行います。同じように住まいも定期的に点検を行い、維持管理やメンテナンスをすることが必要。そのためには、住まい全体をトータルで見てアドバイスしてくれる、信頼できるホームドクターが必要不可欠です。
新築時に良いホームドクターとなる会社を見つけられなかった場合でも、リフォームを機会に一生のおつきあいができる会社を探し出せれば、家にとっても住む人にとっても、こんなに良いことはありません。
せっかく、お金をかけてリフォームするのですから、工事前に気密測定や熱損失の計算をきちんと行い、工事後にどれだけ改善されるのかを数値として現してくれる会社、工事完了後も継続的にアフターメンテナンスをしてくれる会社を探して工事を依頼すると、断熱改修で失敗するということが防げると思います。
‹窓まわり・建具など›
住まいのメンテナンスが必要な場所は、日常のお掃除などちょっとしたときに発見できるものです。
例えば樹脂やアルミのサッシ、ドアなどは、窓拭きのときに中性洗剤を入れた水で一緒に拭き掃除ができますから、お掃除しながらひび割れの有無や破損、取り付けられている壁との間に入っているコーキングが切れていないかなどをチェックしてみてください。
木製サッシは、水拭きをしたときに気になる傷や破損を見つけたら、あまり大きくない場合はメンテナンス・キットなどで補修ができる場合も。
また、引き違いの窓の場合はレール部分が破損していないかもチェックして。ゴミやホコリが溜まっている場合は取り除いてから、開閉の具合、隙間がないかなど確認してみましょう。
気になる箇所を見つけたら、大きな傷や破損の場合は建築会社かメーカーに相談してみるのが安心です。
建具周辺の外壁も要チェック。小さなひびなどの場合は、ホームセンターで販売されている外壁用のコーキングなどで補修できますが、ひびが深かったり大きな場合は、内部まで水が浸透して躯体や断熱材に影響を与えている場合もありますから、建築会社に相談するのが安心です。
気になる部分を見つけたら、放っておかず、早めにメンテナンスをしましょう。そうすることで、建物への影響も工事費用も抑えることができるのだということをお忘れなく。
断熱工事や2重窓などの省エネ改修工事で減税される新しい税制法案が、現在、国会で審議されています(3月1日現在)。国会で成立して実施されることになりますが、資料(※1)をもとにその概要を紹介します。
「住宅の省エネ改修促進税制」とは、住宅ローンを利用し、省エネルギー性能を用いた増改築工事を行った場合、その住宅ローン残高(1,000万円を限度)の一定割合を、5年間にわたり所得税から控除するというものです。現行の住宅ローン減税との選択制になります。
対象となる省エネ改修工事は
1.居室のすべての窓の改修工事
2.1と併せて行う床や壁、天井の断熱工事
1と2は次の要件を満たすことが前提となります。
■改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること
■改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上あがると認められる工事であること
■その工事費用の合計額が30万円以上であること
この制度の適用については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性能評価機関、建築基準法に基づく指定確認検査機関、または建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士等の証明が必要となっています。
この制度は、2008年の4月1日から12月31日の期間に工事をして居住する人が対象。詳細については、表:1を参照してください。
また、現行の住宅ローン減税の対象となる増改築等の範囲に、省エネ改修工事が追加されるとのことです。固定資産税についても、省エネ改修工事をした翌年度の税額(一戸あたり120u相当分まで。)が3分の1減額されます(2008年4月1日から2010年3月31日までの間で一定の省エネ断熱改修工事を行ったもの)。
表:1
住宅の省エネ改修促進税制
注:なお、これらは現在国会で審議中の法案のため、内容が変更になる可能性があります。
※1資料:自由民主党「平成20年度税制改正大綱」、財務省「平成20年度税制改正の要綱」
※2特定の省エネ改修工事:改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年度の省エネ基準相当に上がると認められる内容の省エネ改修工事
住宅雑誌リプラン80号掲載 SUDOホーム代表 : 須藤 芳巳